臨床研究
アレルギー性鼻炎
□ 吟味された対照群を持つ臨床試験により、アレルゲン免疫療法は、以下を原因とするアレルギー性鼻炎の治療に有効だと証明されている:
◆ 樹木花粉(カバノキ、ヒマラヤスギなど)
◆ 牧草花粉(チモシー牧草、ライ麦など)
◆ 草花粉(ブタクサなど)
◆ カビ胞子(アルタナリア属、クラドスポリウムなど)
◆ チリダニ(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニなど)
◆ 動物のフケ(猫など)
喘息
□ いくつかの対照試験において、アレルゲン免疫療法は、症状スコアの減少、薬の使用、不定期の来診、及び/あるいは肺機能テストにおける好転に基づき、以下の患者にかなりの臨床改善をもたらすと証明されている:
◆ 季節性花粉及びカビにより引き起こされる喘息。
◆ 動物(猫など)やチリダニにより引き起こされる、通年性アレルギー性喘息。
⇒ その他のアレルゲン(ゴキブリ、犬など)により引き起こされる通年性アレルギー性喘息への免疫療法は有益だと考えられるが、有効性を確立するために、更なる治験が必要とされる。
昆虫過敏症
□ ハチ毒免疫療法の有効性は、以下の刺咬昆虫過敏症の予防においてよく立証されている:
◆ ミツバチ
◆ スズメバチ
□ アレルゲン免疫療法は、以下の反応の予防にも有益だと考えられる:
◆ ヒアリによる刺傷
◆ ある種の刺咬昆虫(ブラジルサシガメなど)
◆ 吸入した昆虫アレルゲン
□ 対照試験により、アレルゲン免疫療法は以下の患者に有効だと証明されている:
◆ アレルギー性鼻炎
◆ アレルギー性結膜炎
◆ アレルギー性喘息
◆ 刺咬昆虫(ハチ目)過敏症
□ 有効性は証明されているが、アレルゲン免疫療法のメカニズムはまだ不明である。
◆ 現在のエビデンスでは、メカニズムに、アレルゲンに対するTh2からTh1へのサイトカイン反応による免疫の逸脱が含まれると示唆されている。
免疫療法の大きな利点の一つとして、患者は治療終了後も数年にわたって持続的に好転していくことがあげられる。
□ 治療停止後、最低3年間、症状が軽減する。
□ 治療後、最低3年間、持続的に免疫を変化させる。
(左側水色部分)
アレルゲン免疫療法を考慮している患者に対して、アレルギー/免疫学専門医へ診察または共同管理のために照会することが奨められる。
アレルゲン免疫療法は、アレルギー/免疫学専門医の管理の下、起こりうるあらゆる反応に対処できる設備及び訓練された職員を備えた医療施設でのみ行われるべきである。生命に危険を及ぼす反応が起こりうるが、まれである。
アレルギー疾患の治療:
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法(アレルギーワクチン療法とも呼ばれる)は、IgE依存性症状のある患者に対し、特定のアレルゲンを繰り返し、コントロールしながら投与し、それらアレルゲンへの自然な接触による疾患の重症度を軽減させる。
□ アレルゲン免疫療法は、以下の場合に考慮される。
◆ 患者が敏感である不可避なアレルゲン接触と症状との間に、明らかな関係性があると証明される。
◆ 一年を通して、または一年の大部分にわたってアレルギー反応がある。
◆ 薬物療法による治療でアレルギーをコントロールするのが困難である:
⇒ 複数の薬物療法が必要である。
⇒ 薬物治療の効果がない。
⇒ 患者及び/または家族が薬物療法を受け入れない。
◆ 免疫療法によるかなりの効果が見込める。(3歳以上の子どもと若年成人)
⇒ 子どもまたは若年成人の間に治療されなかった場合、その疾患の自然史は、症状をより長期にわたり持続させる。
⇒ 早期の免疫療法による処置により、疾患のプロセスが変化する場合がある。
ロイコトリエンモディファイアー
(特定の疾患への使用は、第2章|喘息|を参照)
□ 軽度の持続的な喘息の治療のために、長期にわたる調節薬として使用される。
◆ 吸入コルチコステロイドの必要投与量を減らせる場合がある。
□ 運動誘発性喘息の予防になる得る。
□ 経口薬として使用できる。
気管支拡張作用のある薬物療法 (特定の疾患への使用は、第2章|喘息|を参照)
β2刺激薬
□ 短時間作用性の吸入製剤は、以下のように使用される:
◆ 急性喘息症状の軽減。
◆ 運動誘発性喘息症状の予防。
□ 長期調節製剤:
◆ 喘息症状の12時間コントロールに使用される。
◆ 夜間喘息症状のある患者に有益な場合がある。
テオフィリン
□ 喘息の長期調節薬として使用される。
□ 血清レベルをモニターし、安全と有効性を確認しなくてはならない。
◆ 5~12mcg/ml でなくてはならない。
□ 抗炎症作用のある場合がある。
鬱血除去作用のある薬物療法 (特定の疾患への使用は、第2章|鼻炎、副鼻腔炎|及び/あるいは、第3章|結膜炎|を参照)
□ 経口、または鼻スプレーを使用し、鼻づまりを軽減させる。
□ しばしば抗ヒスタミンと併用される。
□ 眼の血管収縮薬として局所的に使われる場合がある。
□ 長期にわたり鼻スプレーを使用すると、鼻づまりのリバウンドが起こる。
抗炎症作用のある薬物療法
コルチコステロイド
(特定の疾患への使用は、第2巻|喘息、鼻炎、副鼻腔炎、アトピー性皮膚炎|及び/あるいは、第3章|結膜炎、蕁麻疹、接触性皮膚炎、薬物反応、刺咬昆虫反応|)
□ 抗炎症薬は、多くのアレルギー性疾患の治療に使用される。
◆ 非ステロイド抗炎症薬(例:アスピリン、イブプロフェン)は、アレルギーに対して同じ効果を持たない。
□ 局所的使用が好ましい。
◆ 喘息には、吸入
◆ アレルギー性鼻炎には、鼻腔内
◆ アレルギー性/接触性皮膚炎には、局所的(皮膚)
□ 他の一定の薬と併用される場合がある。(全身へのコルチコステロイドの塗布を縮小するため、及び/あるいは、重度のアレルギー症状に対して効果をさらに上げるため)
クロモリンナトリウム/ネドクロミルナトリウム
(特定の疾患への使用は、第2巻|鼻炎、喘息|を参照)
□ 喘息治療用の局所的非ステロイド抗炎症薬
◆ ネドクロミルナトリウムは、吸入コルチコステロイドの必要量を下げる場合がある。
□ クロモリンナトリウムは、鼻スプレーとしてアレルギー性鼻炎に使用できる。
The Allergy Report Vol.Ⅰp.76
(訳)
経口非鎮静性抗ヒスタミン-鬱血除去薬併用:*
薬品名 服用量
ジェネリック 商品名 大人 子ども
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フェキソフェナジン/ アレグラ-D 1錠(60mg/120mg)1日2回 12歳以上:
プソイドエフェドリンHCI (12時間ごと) 大人に同じ
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ロラタジン/ クラリティン-D 1錠(5mg/120mg)1日2回 12歳以上:
プソイドエフェドリンHCI 12時間 (12時間ごと) 大人に同じ
クラリティン-D 1錠(10mg/240mg)1日1回 12歳以上:
24時間 大人に同じ
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経口低鎮静性**抗ヒスタミン-鬱血除去薬併用:*
薬品名 服用量
ジェネリック 商品名 大人 子ども
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アクリバスチン/ Semprex-D 1カプセル(8mg/60mg) 12歳以上
プソイドエフェドリンHCI カプセル 1日4回(4~6時間ごと) 大人に同じ
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セチリジン/ ジルテック-D 1錠(5mg/120mg) 12歳以上
プソイドエフェドリンHCI 1日2回 大人に同じ
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* これらの薬は、処方箋なしで購入できる鬱血除去薬や抗ヒスタミンと一緒に使用するべきでない。尿貯留、狭隅角緑内障、重度の高血圧症のある患者、モノアミン酸化酵素阻害薬を14日以内に服用した患者は、使用するべきでない。
** 低鎮静性とは、古い世代のH1抗ヒスタミンに比べて鎮静作用の可能性が低いことを示して使われる用語である。
非鎮静性及び低鎮静性抗ヒスタミン
□ 中枢神経系への浸透性が低く、抗セロトニン及び抗コリン作用による阻害作用が最小限に抑えられる。その結果、副作用がより少ない。
◆ 中枢神経系への最小限の浸透は、以下に関係する:
⇒ 非脂肪親和性
⇒ 大きい分子サイズ
⇒ 静電荷
臨床研究では、非鎮静性抗ヒスタミンの標準量投与により、以下の結果が得られている:
□ プラシーボと比較した場合、鎮静作用の増大はない。
□ アルコールやジアゼパムの中枢神経系作用を増強させない。
□ 認知運動及び/あるいは精神運動への副作用はない。
外用抗ヒスタミン
外用抗ヒスタミンは以下の治療に効果的である:
□ アレルギー性結膜炎による急性眼症状
◆ 特に、眼の痒みの緩和
◆ 迅速な症状緩和
□ アレルギー性鼻炎症状
◆ 外用(鼻腔内)抗ヒスタミンスプレー(部分的に鎮静作用がある。)
(右側水色部分)
外用抗ヒスタミンは以下の症状の治療に効果的である:
□ アレルギー性結膜炎(点眼薬)
□ アレルギー性鼻炎(鼻腔内スプレー)
分類
抗ヒスタミンは、一般に以下によって参照される:
□ 鎮静レベル
□ 化学構造(特定の側鎖置換)
作用のメカニズム
□ H1レセプター拮抗薬
◆ 新薬の作用は、競合的レセプター結合のみの場合よりも複合的である。
◆ 炎症反応の構成要素に影響を与える。
⇒ ヒスタミンの放出
⇒ 接着分子の発生
⇒ 炎症細胞の流入
副作用
鎮静性抗ヒスタミン
副作用は、中枢神経系への浸透性と抗セロトニン及び抗コリン作用効果に関連し、以下のものが含まれる。
□ 鎮静作用
□ 精神運動/認知機能障害
◆ 明らかな鎮静作用がなくても、はっきり現れる場合がある。
◆ 運転については患者に注意をうながす。
□ 錯乱
□ 被刺激性
□ 食欲の変化
□ 口の渇き
□ 尿貯留
(右側水色部分)
抗ヒスタミンは、アレルゲン接触やアレルギー時期の前から継続的に投与することによって、最大の効果が得られるとされている。
古い鎮静性抗ヒスタミンは、明らかな鎮静作用がなくても、精神運動/認知機能障害をもたらす場合がある。
□ 運転については患者に注意を促す。
The Allergy Report Vol.Ⅰp.73
(訳)
アレルギー疾患の治療:
薬物療法
このレポート内の全ての臨床セクションにおいて、各疾患に特定した薬物療法について議論している。このセクションでは、アレルギー疾患治療に使用される一般的なクラスの薬を概観する。アレルギー治療に最もよく使用される薬である内服抗ヒスタミンについては情報を追加する。
アレルギー疾患治療に使用される薬
エピネフリン (特定疾患への使用は、第2巻|喘息|及び/あるいは、第3巻|食物反応、刺咬昆虫反応、アナフィラキシー及びアナフィラキシー様反応|を参照)
□ 緊急性アレルギーの選択薬
(例: アナフィラキシー)
□ 注射により投与する。
抗ヒスタミン (特定疾患への使用は、第2巻|アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎|及び/あるいは、第3巻|結膜炎、蕁麻疹、刺咬昆虫反応、アナフィラキシー及びアナフィラキシー様反応|を参照)
□ 内服H1レセプター拮抗薬が、アレルギー疾患の症状を治療、及び/または予防するために広く使用されている。
□ 非鎮静製剤が好ましい。
□ しばしば、内服鬱血除去薬と併用される。
(右側水色部分)
内服抗ヒスタミンは、アレルギー疾患治療にとって重要である。
□ 50年以上に及ぶ臨床経験。
□ アレルギー性鼻炎、結膜炎、蕁麻疹に関連する一般的な症状緩和のために広く使用される。
□ 古い薬は、鎮静作用を伴う。
◆ より新しい、鎮静作用のない、あるいはより少ない薬の方が好ましい。