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免疫療法について特にすべき考慮
アレルギー疾患のある子どもへの免疫療法治療
□ 就学前児童への空気アレルゲン免疫療法の使用について扱っているデータは、まだ不足している。
□ 刺咬昆虫に対するアナフィラキシー(蕁麻疹以外)を起こした病歴がある、または重度のアレルギー疾患がある子どもについては、危険性よりも利益の方が大きいと考えられる。
妊娠中及び授乳中における免疫療法の使用
□ 妊娠中にアレルゲン免疫療法を開始しない。
□ 以下の場合、妊娠中に免疫療法を継続することができる(おそらくするべきである):
◆ 患者が免疫療法に高い耐容性を示している。
◆ 抽出液の投与により症状が緩和されている。
◆ 妊娠中ずっと同じ投与量と頻度を保っている。
□ 母乳による授乳中においても継続する。
□ 可能性のある危険(P.65のチャートを参照)
◆ 局所的反応
◆ 以下のような全身反応:
⇒ 全身反応に関連する胎児低酸素症
⇒ 子宮収縮、及び関連する自然流産または早産
免疫療法を受けるべきでないのはどんな人か?
□ β遮断薬を服用している患者
□ 以下のような、全身アレルギー反応に耐える能力を低下させる健康状態にある患者:
◆ 肺機能が著しく損なわれている(急性、慢性のどちらも)
◆ よくコントロールされていない喘息
◆ 不安定狭心症
◆ 最近心筋梗塞になった、または著しい不整脈
◆ コントロールされていない高血圧
◆ 主要な臓器系の不全症(腎不全など)
免疫療法に対する全身反応予防のための提案
□ 注射の度に:
◆ 前回の注射後20~30分以上経ってから、大きな局所的反応あるいは全身反応が起こったか、患者に質問する。
◆ 患者の一般的な健康状態を評価する。(上気道感染症、喘息の悪化、アレルギー症状の増大について質問する。)
◆ 喘息患者の場合、最大呼気流速の測定を考慮し、最大呼気流速がその患者の予定値域内である場合にのみ、注射を行う。
□ 反応の重症度、及び/あるいはIgE抗体テストに認められた結果を基礎として、敏感性の上昇した可能性のある患者を確認する。
◆ 濃度のより薄い抽出液で治療をスタートする。
□ 以下の場合、投与量の縮小が必要だと認識する:
◆ 新しく用意された抽出液を使う。
◆ 免疫療法スケジュールにかなりの中断があった。
◆ アレルゲン接触に著しい変化がある。(アレルギーシーズン期間など)
◆ 症状に変化があった。
□ 患者に熱がある場合、治療を控える。
□ 注射の直前・直後は過度の身体運動を避けるよう、患者に勧める。
□ 診療所を出る前に、患者に20~30分待ってもらう。以下を考慮する:
◆ 喘息患者に、帰る前にもう一度ピークフロー(最大呼気流量)を測定させる。
◆ もう一度、注射した部位を視診する。
The Allergy Report Vol.Ⅰp.87
(訳)
◆治療期間とメンテナンス(維持)スケジュールは、患者により個別に合わせられている。
□ 特異的に関連する治療上の危険性。
◆ アレルギー疾患により異なる。
ほとんどの臨床医は、少なくとも3~5年、患者によってはさらに長期の免疫療法を勧めている。
免疫療法にはどのような危険性が関連するのか?
アレルギー疾患によって、患者に特異的な危険性が及ぼされる場合がある。
□ アレルギー性鼻炎患者の場合、主な危険性はアナフィラキシーであり、致命的になり得る。
□ 喘息患者の場合、主な危険性は気管支収縮である。これはアナフィラキシーと付随している場合があり、致命的になり得る。
局所的反応及び全身反応の起こる場合がある。
(右側水色部分)
アレルギー疾患は、免疫療法を受ける患者に特異的な危険性を及ぼす場合がある。
免疫療法を施す医療提供者と患者の両者は、以下のことが出来なければならない:
□ 気管支収縮、及び/あるいはアナフィラキシーの初期症状を認識する。
□ それらが起こった場合、直ちに緊急処置を行う。
ハチ毒免疫療法は、虫に刺された後、全身アナフィラキシー反応を起したことがあり、IgE感受性が実証されている全ての患者に対して考慮されるべきである。
ハチ毒免疫療法は、非常に強い陽性反応の病歴があるが、皮膚テスト及び試験管テストは陰性である患者には勧められません。
□ 患者が危険にさらされていることを考慮しましょう。
□ 注射用エピネフリンを含む、適切な方法で対処しましょう。
免疫療法について患者は何を伝えられるべきか?
□ 使用されるアレルゲン抽出液は、疾患によって異なる。一般的なものとして、以下があげられる:
◆ 樹木、牧草、草の花粉
◆ カビの胞子
◆ チリダニ
◆ 動物アレルゲン
◆ ハチ
□ 注射のスケジュールは、その人に合うように個別化されているが、概して、毎週/隔週の「投与量ビルド」( dose building )と、それに続く毎月のメンテナンス(維持)を含む。
◆ 初めのうちは、1本または2本の注射による治療が毎週行われる。
◆ メンテナンス(維持)レベルに達すると、注射の頻度は徐々に月1回に減らされていく。
⇒ 最大達成量(メンテナンス量・維持量)に到達するまでに、最長12ヶ月にわたって濃度が上げられていく。
大多数の患者は、可能な治療法をいくつか組み合わせる必要がある。
以下を考慮しましょう:
□ アレルゲン回避
□ 薬物療法
□ アレルゲン免疫療法
全ての患者は、自らの診断と治療法について教育を必要とする。
以下の患者には、ハチ毒免疫療法を開始しましょう:
□ 虫に刺された後、全身アナフィラキシー反応を起したことがあり、IgE感受性が実証されている。
□ ハチ目免疫療法は、以下の患者には勧められません:
◆ 非常に強い陽性反応の病歴があるが、皮膚テスト及び試験管テストは陰性である。
⇒ 非免疫学的反応であったか、もしくは質の悪いテスト材料であったことを示す可能性がある。
⇒ どちらの場合も、患者が危険にさらされていることを考慮し、注射用エピネフリンを含む適切な手段により対処する。
全身症状及び/あるいはアナフィラキシーの非常に強い陽性反応の病歴がある患者にも、疑わしいアレルゲンのIgE抗体に対する皮膚テストが陰性になる場合がある。
□ このような患者は、アレルギー/免疫学専門医による慎重な評価を必要とする。
□ 皮膚テストと試験管テストの両方とも陰性である場合、反応が非免疫学的であるか、あるいは試験に使われた材料の品質が疑わしいと考えられる。
□ そのような場合、患者が危険にさらされていることを考慮し、注射用エピネフリンを含む適切な手段により対処する。
(右側水色部分)
大多数の患者は、可能な治療法をいくつか組み合わせる必要がある。
全ての患者は、自らの診断と治療法に付いて教育を必要とする。
その他の疾患
□ 食物過敏症に対するアレルゲン免疫療法の使用をサポートするような、吟味された対照群をもつ臨床試験はない。
□ アトピー性皮膚炎の管理におけるアレルゲン免疫療法の有効性については、相反するデータがある。
アレルゲン免疫療法についての考慮
以下について患者を評価しましょう:
□ アレルギー症状の重症度と期間
◆ 主観的かつ客観的な手段を用いましょう。
◆ 重症度の重要な指標:
⇒ 従来の薬物療法への反応
⇒ 仕事や学校の時間が失われる
⇒ 救急科にかかったことがある
⇒ 医療提供者の診療所へかかったことがある
□ 以下のようなクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)への症状の影響
◆ 睡眠障害
◆ 仕事や学校での集中力/生産性の妨害
□ 以下のような他の治療法への症状の反応
◆ アレルゲン回避
◆ 薬物療法
□ 薬物療法の受け入れがたい副作用
□ 他の病状の有無
アレルゲン免疫療法には、適切なアレルギー評価が必要です。
反応は、抗原特異的であり、かつ以下を基にした適切な確認試験と必要なアレルゲンの選択に依拠します:
□ 患者の病歴
□ 患者の診断テスト結果
(左側水色部分)
対照試験により、アレルゲン免疫療法は以下のものに有効だと証明されている:
□ アレルギー性鼻炎
□ アレルギー性結膜炎
□ アレルギー性喘息
□ 刺咬昆虫(ハチ目)過敏症
食物過敏症に対しアレルゲン免疫療法の使用をサポートするような、吟味された対照群をもつ臨床試験はない。
アレルゲン免疫療法を考慮している患者に対して、アレルギー/免疫学専門医へ診察または共同管理のために照会することが奨められる。
臨床研究
アレルギー性鼻炎
□ 吟味された対照群を持つ臨床試験により、アレルゲン免疫療法は、以下を原因とするアレルギー性鼻炎の治療に有効だと証明されている:
◆ 樹木花粉(カバノキ、ヒマラヤスギなど)
◆ 牧草花粉(チモシー牧草、ライ麦など)
◆ 草花粉(ブタクサなど)
◆ カビ胞子(アルタナリア属、クラドスポリウムなど)
◆ チリダニ(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニなど)
◆ 動物のフケ(猫など)
喘息
□ いくつかの対照試験において、アレルゲン免疫療法は、症状スコアの減少、薬の使用、不定期の来診、及び/あるいは肺機能テストにおける好転に基づき、以下の患者にかなりの臨床改善をもたらすと証明されている:
◆ 季節性花粉及びカビにより引き起こされる喘息。
◆ 動物(猫など)やチリダニにより引き起こされる、通年性アレルギー性喘息。
⇒ その他のアレルゲン(ゴキブリ、犬など)により引き起こされる通年性アレルギー性喘息への免疫療法は有益だと考えられるが、有効性を確立するために、更なる治験が必要とされる。
昆虫過敏症
□ ハチ毒免疫療法の有効性は、以下の刺咬昆虫過敏症の予防においてよく立証されている:
◆ ミツバチ
◆ スズメバチ
□ アレルゲン免疫療法は、以下の反応の予防にも有益だと考えられる:
◆ ヒアリによる刺傷
◆ ある種の刺咬昆虫(ブラジルサシガメなど)
◆ 吸入した昆虫アレルゲン
□ 対照試験により、アレルゲン免疫療法は以下の患者に有効だと証明されている:
◆ アレルギー性鼻炎
◆ アレルギー性結膜炎
◆ アレルギー性喘息
◆ 刺咬昆虫(ハチ目)過敏症
□ 有効性は証明されているが、アレルゲン免疫療法のメカニズムはまだ不明である。
◆ 現在のエビデンスでは、メカニズムに、アレルゲンに対するTh2からTh1へのサイトカイン反応による免疫の逸脱が含まれると示唆されている。
免疫療法の大きな利点の一つとして、患者は治療終了後も数年にわたって持続的に好転していくことがあげられる。
□ 治療停止後、最低3年間、症状が軽減する。
□ 治療後、最低3年間、持続的に免疫を変化させる。
(左側水色部分)
アレルゲン免疫療法を考慮している患者に対して、アレルギー/免疫学専門医へ診察または共同管理のために照会することが奨められる。
アレルゲン免疫療法は、アレルギー/免疫学専門医の管理の下、起こりうるあらゆる反応に対処できる設備及び訓練された職員を備えた医療施設でのみ行われるべきである。生命に危険を及ぼす反応が起こりうるが、まれである。
アレルギー疾患の治療:
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法(アレルギーワクチン療法とも呼ばれる)は、IgE依存性症状のある患者に対し、特定のアレルゲンを繰り返し、コントロールしながら投与し、それらアレルゲンへの自然な接触による疾患の重症度を軽減させる。
□ アレルゲン免疫療法は、以下の場合に考慮される。
◆ 患者が敏感である不可避なアレルゲン接触と症状との間に、明らかな関係性があると証明される。
◆ 一年を通して、または一年の大部分にわたってアレルギー反応がある。
◆ 薬物療法による治療でアレルギーをコントロールするのが困難である:
⇒ 複数の薬物療法が必要である。
⇒ 薬物治療の効果がない。
⇒ 患者及び/または家族が薬物療法を受け入れない。
◆ 免疫療法によるかなりの効果が見込める。(3歳以上の子どもと若年成人)
⇒ 子どもまたは若年成人の間に治療されなかった場合、その疾患の自然史は、症状をより長期にわたり持続させる。
⇒ 早期の免疫療法による処置により、疾患のプロセスが変化する場合がある。